産業廃棄物収集運搬許可(新規・積替え保管なし)
これから産業廃棄物収集運搬業を始める場合には許可が必要になります。新規で産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、決められた要件を満たす必要があります。ここでは申請の多い「積替え保管なし」の場合について解説します。
許可が必要なのか?
産業廃棄物収集運搬業の許可申請をする前に、そもそも許可が必要な場面なのかを確認してみます。
産業廃棄物収集運搬業許可が必要な場合というのは、「他人が排出した産業廃棄物を、依頼を受けて中間処理施設などに運搬する」ときです。
ですから、次のような場合は許可が不要になります。
例 ・排出業者が自ら産業廃棄物を運搬する場合
・専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集運搬を行う(専ら物と呼ばれ、古紙や古着などの古繊維、アルミ缶などの古銅を含む鉄くず、空きびん類のこと)
・環境大臣の認定を受けたものが運ぶ、認定された産業廃棄物を運ぶ場合
申請要件
1.産業廃棄物の収集運搬課程講習会を受講し、修了していること
申請には公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施している講習会の受講が必要です。新規の場合、2日間の講習会になります。2日目の最後の試験に合格すると、「修了書」が交付されます。
修了書は2週間後に郵送されます。なお、修了証の有効期限は5年間です。
講習会は各都道府県で実施されており、どこでも受講可能です。各都道府県には3ヶ月毎のペースであります。詳しい日程は「日程は公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター」HPで確認できます。会場の定員に達すると、受けたい場所で受講できなくなるので、早めに確認し申し込みすることをオススメします。余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
講習会を受講する方
法人の場合は、業務を行う法人の代表者若しくは役員。
個人の場合は、事業場の代表者。
2. 事業を的確かつ継続して行える経理的基礎を有すること
累積赤字、債務超過になっていないことが求められます。直近3年分の決算書、納税証明書を添付して申請します。
財務基盤の審査において各都道府県で基準が違います。債務超過でも改善書、中小企業診断士の診断書を添付して許可される場合もあります。
3. 必要な施設・設備が整っていること
産業廃棄物を運搬するとき、廃棄物が飛散、流出、悪臭が漏れることが無いようにしなくてはいけません。廃棄物を運搬する車両、船、容器のことを「収集運搬設備」と言います。
車両の要件として以下のものがあります。
・廃棄物が飛散、流出、悪臭が漏れない車両であること。
飛散防止カバーなどを使用で足りることもあります。
・使用権限があること(車検証の使用者と所有者が同一である)
使用者と所有者が違う場合は使用承諾書、賃貸借契約書が必要になります。
・既に他の事業者が使用している車両ではないこと(二重登録でないこと。)
容器については一般的にドラム缶や耐食性があるプラスチックドラム、フレキシブルコンテナなどが多く使用されます。
廃棄物に適した容器の組み合わせ例
4. 欠格事由に該当しないこと
申請者が欠格要件のいずれかに該当している場合は申請することができません。
個人事業主なら本人。
法人の場合
・取締役、執行役、監査役などの役員
・政令で定める使用人
・総株主の議決権の100分の5以上を有する株主
・出資の総額の100分の5以上に相当する出資者
欠格事由
- 成年被後見人または被保佐人、または自己破産者で免責を受けていないもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないもの又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律及び刑法若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 廃棄物処理法、浄化槽法などの違反で罰金以上の処罰を受け、5年を経過していないもの
- 廃棄物処理法、浄化槽法又はこれらの法令に基づく処分に違反する行為をして許可が取り消され、その取り消しを受けた日から5年を経過しないもの
- 許可を受けた者が、廃棄物処理法若しくは浄化槽法又はこれらの法令に基づく許可の取り消しの処分に係る通知があった日から処分をする日又は処分しないことを決定する日までの間に、廃棄物処理業許可又は浄化槽清掃業許可の廃止の届出をした者で、当該届出の日から5年を経過しない者
- 上記⑤の期間内に廃止の届出があった場合、その届出の事業者の役員、政令で定める使用者だった者で届出から5年を経過しないもの
- 廃棄物収集運搬業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
- 申請者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が、上記①∼⑦のいずれかに該当するもの
どこに申請を行うのか?
申請は産業廃棄物の積み降ろし場所の都道府県知事の許可が必要です。
例えば、石川県で排出されて産業廃棄物を積んで、福井県で降ろす場合は、石川県と福井県それぞれの許可が必要です。また、石川県で積んで富山を通過し、岐阜県で降ろす場合は石川県と岐阜県の許可が必要になります。富山県は通過するだけなので許可は必要ありません。
新規で廃棄物収集運搬許可申請の要件を満たせば許可がでます。許可証が交付されて運搬ができるので、申請中に運搬すると無許可運搬になり重い罰則があります。