産業廃棄物収集運搬許可の欠格要件
産業廃棄物収集運搬許可を取得するためには5つの要件を満たさなくてはいけません。その中の1つに欠格要件があります。これは、悪質な業者を排除するために廃棄物処理法で設けられています。欠格要件に該当している場合は新規の場合は許可を受けることができませんし、既に許可を持っていて要件に該当してしまうと許可が取り消されます。この記事では欠格要件について説明します。
欠格要件の対象となる人
法人の場合
- 法人(会社)
- 取締役、執行役、監査役などの役員
- 5%以上の株を保有する株主、
- 政令で定める使用人(本店または支店の代表者で、所謂「営業所長、支店長」さんなどが該当します。)
個人の場合
- 本人
- 政令で定める使用人
欠格要件に該当する事由
- 心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの。
成年被後見人、被保佐人は欠格要件に該当していましたが、成年被後見人及び被保佐人の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されることのないよう2019年に改正されました。 - 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者。
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行をうけることがなくなった日から5年を経過しない者。
- 次の法令に違反し罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者。
大気汚染防止法、騒音規制法
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
水質汚濁防止法
悪臭防止法
振動規制法
特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律
ダイオキシン類対策特別措置法
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置
刑法第204条(障害)
刑法第206条(現場助勢)
刑法第208条(暴行)
刑法第208条の2(凶器準備集合及び結集)
刑法第222条(脅迫)
刑法第247条(背任)
暴力行為等処罰に関する法律 - 廃棄物処理法の重大な違反により許可取り消し、浄化槽法またはこれらの法令に違反し、許可取り消しから5年を経過しないもの。
- 次の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者。
一般廃棄物収集運搬・処分業の許可を取り消し
産業廃棄物(特別管理産業廃棄物も含む)収集運搬・処分業の許可の取り消し
浄化槽法第41条第2項により許可を取り消されたもの - 5の取消に係る聴聞通知日60日前以内に廃止の届出があった場合。
- その業務に関し不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由があるもの
- 暴力団員(暴力団を辞めた日から5年経過していない者を含む。以下暴力団員等とする)
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が1~8に該当するもの
- 法人で役員または使用人が1~8に該当するもの。
- 暴力団員等がその事業活動支配をするもの。
欠格要件に該当している場合は?
欠格要件に該当した日から2週間以内に都道府県知事に「欠格要件該当届出書」を提出する必要があります。(様式は都道府県ホームページよりダウンロード可能)
提出しなかった場合は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
まとめ
欠格要件で一番身近な場面は交通違反です。飲酒運転、人身事故などの重い違反の場合はもちろん、スマートフォンを見ながらの違反も禁錮以上の刑に処せられる場合があるので十分気を付ける必要があります。
欠格要件に該当すると新規申請はできず、既に許可を得て営業している場合は、無許可となり営業できなくなり、廃業ということにもなりかねません。
日頃から経営者、社員が法令尊守の意識を高く持っておくことが大切です。